かわってしまったんだね僕には好きな人がいた。だから、君のコトバには答えられなかった。 「付き合って」というコトバ。透きとおった儚いコエ。 「ごめん、好きな子がいるんだ」という僕のコエに。 「知ってた」というコエが重なる。 「それでも、人は愛さずにはいられないの」そう言って。 君は静かに去っていった。 その背中に、翼が生えていた。 美しい、天使の翼。 もう僕のことは知らないといった風に。 毎日、美しくなっていく君。 いつの間にか、僕の好きな人が君になっていく。 どんどん美しくかわっていく。 綺麗な翼は、また大きく。そして美しく広がっていく。 たまに目があうと、はずかしげに。 そして、少し冷たそうに目をそらす。 君を少し強引によびとめた。 ふりかえる人の中で 「困るから・・・やめて」というつぶやく君のコエを聞いて。 また僕はとまった。 美しい左の薬指にヒカル指輪。 新しい誰かに恋をし、受け止められている。 羨ましいくらいの愛に包まれている。 あぁ、きみはもう。 かわってしまったんだね。 僕の知っている君は、あの時。 美しく去った背中に、生えかけている小さな翼を持っていた。 君の背中の翼は今。 おおきく、美しく広がっている。 きみは、ぼくの知っている君ではない。 美しい女神のような人になってしまった。 もう手の届かない美しい君に告げるとしたら。 もう少しだけかわらないでいてほしかった・・・・。 ぼくの知っている、儚げな君でいてくれればよかった・・・。 もう君に、このコエは届かないのだけれど。 誰か、君に伝えてほしい。 僕は今、君に恋してるんだと。 ジャンル別一覧
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